私たちの初めてのプロジェクトとして既存の建造物をデザインしたいと思い、まずは物件探しを始めました。
物件探しの拠点は富士市吉原地区です。この地区には、狭い土地に商店や町工場が密集しているという地域性が生んだ個性的な物件が数多く眠っています。
「狭い土地」という制約の中、必要なものをいかに効率的に配置するかという観点から生まれた建物は、どれも必然的な構造の面白さを持っています。「そうならざるを得ない形」の面白さに多くの刺激を受けました。
いくつかの候補の中から立地や契約上の条件など、こまかな問題を精査して最終的に残ったのが、昔は工場であったろうと思われる建物です。2階建てですが、道路に面した西側部分は建物全体のほぼ半分が屋根だけの構造になっていて外壁も2階の床もなく、天井からはクレーンが吊られたまま残っていました。
クレーンで荷物の積み下ろしをしていたであろう当時の姿に重なって、新しいデザインのイメージがどんどん湧いてきます。せっかくのユニークな形を生かしたいと思い、2階の床は貼り足したものの壁は三方すべてをガラスで覆いました。これにより特徴的な外観が残るだけでなく、宙に浮いた屋内テラスのような不思議な空間を演出できました。また、鉄筋の柱やトタンの壁、屋根は部分的にそのまま利用し、新たに加わる配管等も露出の高いデザインにすることで、工場という建物が持つ無機物的な雰囲気をカフェに引き継ぎました。
このカフェのオーナーを募集しております。改装前の実際の物件にご案内いたします。
また、デザインの概要を、お客様で探された物件に転用することも可能です。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。